対談|野田秀樹 × 近藤良平

伝統と新しさが出会う、
観たことのない状況を楽しんでほしい。

いま晴れてベールを脱ぐ『東京キャラバン』。その醍醐味を、提唱者である野田秀樹と、八王子、熊本に参加する「コンドルズ」主宰の近藤良平が語り合った。

── 東京(駒沢、六本木)、リオデジャネイロ、東北を旅した『東京キャラバン』が、いよいよ京都、東京八王子、熊本を巡ります。

野田 京都は二条城、熊本は熊本城が会場で、八王子は城こそないけれど城跡がある都市で、偶然にも城が共通点になった。八王子の開催については、地元のみなさんの中に「どうしてここで?」と思われている方が少なくないはず。当初から『東京キャラバン』が意図してきた“神出鬼没にうわっと現れる”というゲリラ的な動きを体現できたんじゃないかな。

近藤 駒沢や六本木と比べると、より東京の身近な部分を感じられる気もしますね。

── 近藤さんは八王子と熊本に参加されます。

近藤 僕が主に中心となるのは熊本のはずだったんですが、結局は八王子の方にもかなり関わっています(笑)。八王子は京都に次いで9月初旬の開催なので、まだ夏の延長という時節も生かしたい。広い場所に何かしらのやぐらを建てて、より直にお客さんが観て、参加して、遊べるよう目指したい。もしかしたらこれまでの「東京キャラバン』で野田さんが出会った方々にも混ざってもらうかもしれない。仮に東北の文化と熊本の文化が出会うとしたら、そんな機会はなかなかないはずですからね。

野田 「東京キャラバン』を重ねて分かったのは「さすがにこれとこれはちょっと難しいかな?」と思える異なる文化同士も、リズムを刻むと面白いほど上手く混ざってくれるということ。音楽が持つ強さだね。

近藤 同感です。リズムさえあれば混ぜ合わせることもそれほど苦ではないというか(笑)。

野田 近藤さんは全身が打楽器みたいな人だから。近藤さんの人柄はみんなを油断させてくれるし、大勢と照れずにやりとりができる。即興性の強い『東京キャラバン』には打って付けの人材なんです。

── 通りは必ず土地の文化と紐づいています。

近藤 そうですね。僕は先日、熊本の牛深という港町を訪れてハイヤという踊りを観てきました。元々は座踊りといって海が時化の時にドンチャンと騒ぐことから生まれたらしいのですが、それが牛深の港から、東北も含めた全国二百か所ぐらいに拡散したという説がある。三味線の音だけを拾うと完全に阿波踊りと一緒。舞台の上で座って、いつ始まったかも分からなければ、急に踊りを止めたり交代したりするんです。

野田 ジャズのセッションみたいだ。『東京キャラバン』も、どこからがパフォーマンスなのか分からない時があります。

近藤 八王子では伝統的な踊りと近代的な踊りをミックスできないかと模索中です。例えば竹の子族のツイストからジュリアナのお立ち台ダンスにピコ太郎、テレビドラマから流行った恋ダンスまで。最近のダンスは昔以上に流行の周期が速いから、浸透する前に廃れた踊りもたくさんあるのかも。

野田 近藤さんは踊りの歴史にどんどん詳しくなっていくね(笑)。

近藤 とんでもない(笑)。でも知れば知るほど面白くて。例えば輪の内側に向かって踊るスタイルはヨーロッパにもあるようですが、盆踊りのように一方向へ練り歩くような輪踊りは日本独自のものらしく、しかも町興しから生まれた新しい踊りもある。最近では全国の盆踊りを追っかける“盆踊ラー”なるマニアも存在するんです(笑)。

野田 古い文化と新しい文化の出会いは想像するだけでわくわくする。京都では最新鋭の小さな球乗り型ロボットが登場します。それがもし芸妓さんや舞妓さん、能楽師の方と出会ったら、彼らは戸惑うかもしれないけど、その様子もまた見物だと思う。

近藤 ロボットに嫉妬したらどうしよう?「アイツなかなかやるな」なんて(笑)。

野田 パフォーマンスだけではなく、それを手探りで作っていく過程から公開するので、覗き見るような気分で多くの方に参加してほしい。何が起こるか分からないし、ひょっとしたら何も起こらないかもしれな。その状況も含めてきっと面白いはず。

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